風邪薬はなぜ効かない?
毎年この時期になると、インフルエンザやノロといったウィルス性疾患が猛威を振るいます。
そのような中、“風邪と言われてお薬もらったけど、咳が止まらない!” “鼻水や喉がずっとすっきりしない!”と病院を何度も受診されたことがある方も決して少なくないのではないでしょうか。もしかして違う病気なのでは?薬が合ってないのでは?と思われるのも無理はないと思います。ただ誤解を恐れずに言えば、“風邪薬とは、その程度のもの”なのです。
例えば解熱剤、抗炎症剤として多用されるサリチル酸(アスピリン)など
NSAIDsと呼ばれるものは、服用量が増えるほど胃腸障害や咳など呼吸器症状の悪化、心臓病のリスク上昇がみられ、インフルエンザなどウィルス性疾患へ安易に使用すると脳症などのリスクも増えます。また多くの総合感冒薬に含まれるアセトアミノフェンという薬剤は、多量に服用したりアルコールと一緒に服用すると命に関わるような肝機能障害を起こします。
咳止め薬に関しては、喀痰を排泄するという生理的な防御機能を無理に抑えるため、却って風邪の後咳が遅延する要因にさえなっています。
つまり、発熱や咳嗽、鼻水といった症状を本当に止めようとすると副作用が強くなるため、安全な用量を安全な期間でしか投与できず十分な効果が得られません。そもそもそれら症状が生理的防御機能の一つであるため、無理に抑えようとすることにより却って病状が遷延する事態になってしまうのです。
そのように判ってはいても、現実問題として、“薬は飲まずに家で寝てなさい”とは言えないのですが・・・。