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今年の暑さで思うこと

[2020.09.01]

 9月になりさすがに日の入りは早くなりましたが、まだまだ日中の暑さは酷暑と呼ぶに相応しい日が続いています。

 この暑さは、遠く太平洋東側(南米側)赤道付近の1℃に満たない海水温の低下が原因になっている(ラニーニャ現象)というから、なんとも気象現象とは繊細だと感じます。このラニーニャ現象、実は2月の段階での長期予報では、今年はないと予想されていました。高性能の気象衛星やスーパーコンピューターを駆使しても、まだ長期的には気象予報も正確性に欠けるということなのでしょう。

 病気発症の予測も、遺伝子解析や腸内細菌叢(さいきんそう)の解析など有望な手法が開発されていますが、現時点ではやはり多くの不確実性を孕んでいると言えます。予測が難しいなら、せめて早期発見をということで健診が大切となるのですが、ただこのように思われませんか?

“健診でどこまで病気を見つけることができるの?”と。

 僕の答えは、“健診はゆっくりじわじわ進行する病気を見つけるには有効だけれど、急に進行する病気を見つけるのは苦手”ということです。具体的に言えば、高血圧や糖尿病などに代表される生活習慣病は見つかりやすいけれども、進行が早いガンは見逃され易いということになります。

 これまで一般人を対象としたランダム化比較試験(バイアスがかかりにくい臨床試験)でがん死亡率減少効果が認められているのは乳がん検診と大腸便潜血検査ですが、その減少効果は13~36%にすぎません。がん検診を定期的に受診することで死亡率を半分に減らせるまでの科学的根拠がある検査は残念ながらまだありません。

 だからと言ってがん検診そのものを否定するものではありません。がんの早期発見に大事だと私が思うのは、病院が嫌いな人もたまには検査を受けることと、毎年健診を受けている人も体調に違和感を感じたら過信せず医師に相談すること。結局はこの二つなのかな、と思います。

 

 

 

 

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