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ラ・カンパネッラ

[2021.03.01]

 先日辻井伸行さんのピアノコンサートに行ってきました。クラシック音楽には疎い私ですが、インターネット動画サイトでたまたま視聴した辻井さんのピアノが奏でるラ・カンパネッラに感動し、それが生で聴けるものと思い、喜び勇んで会場に入りました。ところが残念、今回の演目にはそれが予定されておらず、妻と顔を見合わせることに。ただ演奏が始まるとさずがは世界的なピアニスト、これまで聞いたことがなかった曲でも、いつの間にか見事な曲調、テンポの変化に魅了されていました。

 ご存じの方も多いと思いますが、辻井さんは先天的に視力障害をお持ちで、聴覚だけでこの世界観を作られていることに、人間の潜在能力の高さを感じずにはいられません。

 自分はといえば、”先生、聞いていましたか? “とか”今私が何て言ったか、もう一回話してみて“とスタッフや家内に指摘されることが多く(聴覚というより、意識の問題かもしれませんが・・)、情けない限りです。ただ唯一心臓の鼓動の聴診は、他の方には負けないという自負はあります。

 心臓の鼓動(心音)の聴診は、まだ超音波検査など画像検査が乏しかった時代、心臓の状態を把握する優れた技術として研究が進み、心音図学(心機図学)として、広辞苑ほどの分厚い教科書ができるほどのものです。現在でも心臓移植の可能なとある施設では、移植適応となる心臓の適否判断の一つに、聴診所見を取り入れています。一般の方がプリミティブ(原始的)と思われるような、聴診や心電図検査の方が、超音波検査やCT検査などよりもずっと多くの情報をもっていることは、よくあることなのです。

 さて聴覚が研ぎ澄まされる辻井さんは、予定の演目終了後福井の観客の温かい拍手から何かを感じ、3曲も予定にない曲目を演奏していただけました。最後に演奏されたのが“ラ・カンパネッラ”その曲です。明日からの診療へ力をいただけました。

 

 

 

 

 

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